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東京地方裁判所 昭和43年(ワ)4886号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【事実】〔争いない事実〕

一、死亡自動車事故発生

とき 昭和四二年一一月一六日午後二時五五分頃

ところ 東京都江戸川区上一色町一七一先、アスファルト舗装路上

事故車 被告会社保有のトヨペットコロナ六七年型足立五ほ四七四五号

右運転者 被告渡辺、昭和一八年一月五日生

死亡者 亡伝田伊三雄、昭和一四年一月二〇日生

態様 事故車が北進中、その左方の店先から出てきた亡伊三雄と接触、ために同人は頭蓋底骨折の受傷により翌一七日午前六時五五分頃死亡した。

〔争点〕 4 慰藉料

亡伊三雄の本件事故による精神的損害は金一〇〇万円以上に相当し、原告綾子は金一〇〇万円、原告利雄、松江は各金六〇万円の慰藉料が相当である。

〔判決理由〕第五、争点に対する判断

一、責任原因

本件事故については被告渡辺が幅員八メートルの歩車道の区別ない、商店、住宅混在地の本件道路を白昼、運転するに際し、歩行者の危険に対処する前方注視、徐行の程度が十分でなかつた過失が認められ、同人は民法第七〇九条により、従つて被告会社、被告竹上はもとより自賠法第三条にもとずき、本件事故により生じた原告らの損害を不真正連帯の関係において賠償しなければならない。

すなわち被告渡辺の通行する側からするとして、亡伊三雄の入口の手前に当り、出幅0.6メートル、延長2.2メートル、高さ1.8メートルにわたつて黄色に塗つた牛乳びん運搬用の空箱が積んであつて見通しを妨げているのに、被告渡辺は道路左側から約1.3メートル、右空箱からは約一メートル弱の近接した側を通過するのに、右空箱の障害物にさして気もとめず、人の出入の多い商店の並ぶ前を危険はないものと漫然時速約三〇キロで進行したため、左から出てきた亡伊三雄との衝突をさけることができず本件事故発生をみたものである。もつとも加害者亡伊三雄にも二八歳の分別盛りに自店で積んだ障害物のかげから、車両の危険の有無も確かめずに道路を横断しようと出てきた(とびだしたとまで認定できる十分な証拠はない)過失が認められるが、本件道路のような歩車道の区別ない住宅商店街における歩行者優先の見地からまた事故の重大さからその過失割合は被告側九、被害者側一とすべきである。<資料、略>

<中略>

4 慰藉料

死者亡伊三雄の死亡による慰藉料は民法第七〇九条ないし七一一条の合理的解釈、被害填補の現代的な損害賠償制度の本質からみて否定すべきものと考える。しかしながら、死者本人の慰藉料相続を理由として請求する原告らの真意は、必ずしも死者本人における慰藉料請求権発生を固執するものではなく、金銭的換価によるその支払を求める以上結局原告ら自身の填補享受を目的とするほかない。従つて死者本人の慰藉料として請求する額は予備的にその相続分に従い、遺族である原告ら自身の慰藉料として請求しているものと解して差支えない。

そこで右額をふくめた請求額の範囲内で不時の事故によつて亡伊三雄を失つた妻である原告綾子については金一、三〇〇、〇〇〇円、父母である原告利雄、同松江については各金九〇〇、〇〇〇円の慰藉料を認めるのが相当である。(舟本信光)

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